主張し過ぎない優しい色合いと可憐な姿から一度見たらその美しさの虜になってしまうセルリア。最近はドライフラワーに適したネイティブプランツやワイルドフラワーなどの人気が高まり、園芸店や花屋でセルリアを見かけることも増えました。栽培難易度はやや高めですが、注意する点も踏まえ解説していきます。
セルリアとは
セルリアは、南アフリカ原産のヤマモガシ科セルリア属の植物で、40種以上の品種があるといわれています。別名「ブラッシング・ブライド」と呼ばれ、故ダイアナ妃のウエディングブーケに選ばれた花として有名です。日本での栽培は、難易度が高いため鉢植えでの流通よりも切り花としての流通が主です。
セルリアは、ネイティブフラワーで有名なプロテアやリューカデンドロンと同じヤマモガシ科の植物ですが、ワイルドな印象というよりは、優しく繊細な雰囲気の花を咲かせます。ほんのりピンク色の花弁に見える部分は「総苞」で、この総苞の中にあるのが花です。12~4月の開花期に総苞がゆっくりと開いてくると中の花を見られます。
セルリアの特徴
ワイルドフラワーとは、南アフリカやオーストラリアなどに自生するお花のこと。 日本では、見られないような個性的な形のお花や美しいお花を咲かせます。 セルリアは、ピンク、白、黄色の優しい色味や花姿がかわいらしいと人気です。
また、40種以上あるセルリアは、夏の暑さや冬の寒さに弱く土地を選ぶため、日本では希少で高価な植物です。それでも、セルリアの美しさと独特の花姿に魅了され、ネイティブフラワーの1つとして、その名が知られるようになりました。
セルリアの育て方
セルリアの生育温度
耐寒温度は約0℃です。0℃以下になる場合は、暖房の効いていない明るい室内で管理しましょう。
セルリアの置き場所
セルリアの栽培には、十分な日当たりと風通しが必要です。日照不足になると、株が弱り花付きも悪くなります。しかし、夏の直射日光では葉焼けしてしまうことがあります。
西日は避け、寒冷紗などで日除けするなどして対策しましょう。 また蒸れにも弱いので、風通しの良い場所に置きます。
セルリアの水やり
多湿に弱く根腐れしやすいが、水を欲しがる植物であるという、水やりが難しい植物なのです。ですが水のやり過ぎは避けましょう。特に日本の梅雨、夏の高温多湿な時期には注意が必要です。この時期は、風通しがよく長雨の当たらない場所に移動させるとよいでしょう。セルリアは乾燥に強い植物ですが、日照りが何日も続くようであれば、水切れを防ぐために水やりをしましょう。
セルリアの肥料
セルリアに肥料はほとんど不要です。
セルリアはリン酸の多い肥料に敏感で、リン酸分が多いと枯れやすくなります。
あげるのであれば、観葉植物用などのリン酸分の少ない肥料をごく少量施す程度にします。
セルリアの植え付けと植え替え
花後の切り戻しを行なった、春〜梅雨の間に行います。成長が早いために根詰まりを起こしがちなので、根の様子をよく観察しましょう。根を触られることを嫌うため、できるだけ根鉢を崩さずに植え替えます。赤玉土や鹿沼土などを配合した水はけの良い土を好みます。元肥入りの用土などはリン酸が多く含まれていることがあるため、避けておきましょう。
セルリアの剪定
セルリアは花が終わるかまだ咲いている5月頃に、株元から葉を残して10〜15cmほどの場所でばっさりと切り戻します。太い枝を2〜3本残して、なるべく枝の分岐点の上でカットします。剪定した花はドライフラワーとしても長く楽しめます。夏前に切り戻しを行うことで、花芽をつけやすくなり、蒸れ対策にもなります。
セルリアの増やし方
挿し木は、10cmほどにカットして1〜2時間水につけた挿し穂を作ります。切り口に発根剤をつけて、赤玉土や鹿沼土などの用土に挿します。発根までは用土が乾かないように気をつけましょう。
セルリアが枯れてしまった
水の管理
セルリアが枯れてしまう多くの原因は、水の管理です。 多湿に弱く根腐れしやすいが、水を欲しがる植物であるという、水やりが難しい植物なのです。 鉢を持ち上げてみて軽くなったら、たっぷりとあげます。 夏は朝晩の2回、冬は様子をしっかり見ながら水やりをします。
多湿
乾燥した地域に自生するセルリアは、日本の多湿が苦手です。長雨に当てないように気をつけ、風通しを良くしましょう。鉢植えをスタンドの上などに置いて、鉢の下にも風が通るようにすると蒸れにくいです。水も流れやすくなり、土の水はけも良くなります。また、ベランダで管理する場合、夏はサーキュレーターを置いて風の回りを良くするのも効果的です。冬に室内に取り込むときにも、風通しの良さに気をつけましょう。
花のカット
セルリアは長い間花をつけるのが魅力のひとつですが、早めにばっさりと切り戻しをすることで次の花芽をつけやすくなります。長期間花をつけておくと株に負担がかかることもあります。
カットするのはもったいない気持ちもありますが、ドライフラワーとしてのセルリアも美しく大変人気です。ドライフラワーにする場合は、花が満開になる少し手前でカットし、1日水につけてしっかり水揚げしてから逆さに吊るしておくと、より綺麗な状態で長く楽しめます。
まとめ
栽培難易度が高めのセルリアですが、日当たりと乾燥具合、また夏場と冬場の置き場に注意すれば、日本でも毎年美しい花姿を見せてくれることでしょう。また、切り花・ドライフラワーとして、近年注目のネイティブフラワーを味わってみてはいかがでしょうか。
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