同じ名前を持ちながら、葉の付き方や形に幅広いバリエーションを持つ観葉植物、フィロデンドロン。並んでいても、違う種類の植物だと思ってしまうかも。豊富な種類とその育て方をご紹介していきます。
フィロデンドロンとは
フィロデンドロンは世界の熱帯から亜熱帯に約650種が自生しています。
よく栽培されているのは、メキシコ原産で茎が細く、葉は卵心形で濃緑色になるヒメカズラや、茎が太く、葉は広楕円形で紫褐色地に淡い桃色の斑が入るピンク・プリンセスなどです。また、ブラジル原産で、茎がつる状にならずに立ち上がるフィロデンドロン・ビピンナティフィドゥムはセロウムやヒトデカズラとも呼ばれ、葉は2mにもなり、羽状に切れ込みが入ります。ビピンナティフィドゥムを小型にした草姿のクッカバラはクッカバラ・オージーとも呼ばれ、茎は短く、葉は羽状に切れ込みます。
フィロデンドロンの種類とその特徴
つる性
- フィロデンドロン・インベ(シルバーメタル)
シルバーグリーンと称される明るい緑の葉を持つ - フィロデンドロン・インベ
細長く丸みを帯びた葉をつけ、気根を生やしつるを伸ばします。小さなトレリスなどで支えながら育てるときれいな形を保てます。 - フィロデンドロン・オキシカルディウム(ヒメカズラ)
小さなハート型の葉が可愛らしいオキシカルディウム。ヒメカズラの名前でも知られています。葉はやや肉厚で光沢があります。小型な種類で、ハンギングや、支柱を立てたヘゴ仕立てで出回ることが多いです。明るい黄緑色の葉を持つ「ライム」や、葉に斑の入る「ブラジル」「バリエガツム」という種類もあります。 - ピンク・プリンセス
大きな葉に、太い刷毛ではいたようにピンク色の斑が不規則に入るピンク・プリンセス。紫がかった緑の葉と、明るいピンクのコントラストが美しい品種です。全体的に華やかな印象があり、茎や気根は赤みの強い色をしています。低い草丈で生長するため、ミニ鉢としてよく流通しています。
直立性
- フィロデンドロン・セローム(ビピンナティフィドゥム)
ぎざぎざと切れ込みの入った葉と、まっすぐに立ち上がる茎が特徴的なセローム。大きく広がる葉の形がヒトデのように見えることから、ヒトデカズラの和名を持ちます。深型の鉢に入れるとスタイリッシュさが際立つ、人気の品種です。 - クッカバラ(オージー)
羽根のような切れ込みの入った葉をたくさんつけるクッカバラ。葉の大きさはセロームより小さめですが、つける葉の数は多め。クッカバラとは、ワライカワセミを指します。広がる葉が、翼を広げたように見えることからつけられたものだといわれています。
フィロデンドロンの育て方
フィロデンドロンの生育温度
フィロデンドロンには耐陰性はありますが、明るい室内で管理してください。 20~25℃位が最適生育温度です。
フィロデンドロンの置き場所
日当たりの良い場所が適していますが、日射しが強いと葉焼けするので、春と秋はレースのカーテン越しのような柔らかな日射しの場所で、真夏は明るい日陰で育てましょう。光の射し込まないような日陰だと、葉色が悪くなったりひょろひょろに間延びしてしまうので、気をつけましょう。
セロームは寒さに強く5℃まで耐えますが他の種はだいたい10℃以上の気温が必要です。生育期に屋外で育てている場合は10月には室内に取り込みましょう。置き場所は窓際のような充分に日照の確保できる場所が適しています。
フィロデンドロンの水やり
空気中の湿度が高い環境を好むので、水やりの際には気根や葉にもたっぷりと水をかけましょう。空気中の湿度が高いと気根もたくさん出て生育も良くなります。
冬は生育がにぶるので乾かし気味に管理します。土の表面が乾いてから数日開けて水やりを行いましょう。
フィロデンドロンの植え替え・植え付け
植え替えは5~7月に行います。だいたい目安は2年に1回くらいで、鉢から抜いた株は一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けます。水ゴケで植えている場合は傷んだ水ゴケをしっかりと取り除いてから植え付けましょう。同時に芽の発生を促すために長く伸びすぎたつるは切り戻します。
また、つるが伸びるタイプはほおっておくと、どんどん伸びて草姿が乱れます。つるが伸びすぎる前に切り戻しを行い、常に下の方の葉があるようにしましょう。下の葉が落ちてみすぼらしくなってしまった株は株元から20cmほどの長さで切り戻して仕立て直しましょう。
フィロデンドロンの肥料
肥料は基本的に生育期の5〜10月に液体肥料を与えます。2か月に1度置き肥を置くか、水に薄めた液肥を2週間に1度のペースで水やり代わりに与えてください。大きくしたくない場合は1ヶ月に1回にしておきましょう。冬は肥料を与える必要はありませんが植え替えの時に長期間ゆっくり効く緩効性肥料を、土に混ぜ込んでおくだけで十分です。
まとめ
葉の形や樹形にバリエーションがあるのは、フィロデンドロンがつる性と直立性のものに分かれているのも理由のひとつです。つるを伸ばす品種は鉢植えやハンギング、直立性のものは見栄えのする背の高い鉢物として、いずれも数多く流通しています。丈夫な性質で順応性も高いことから、初心者の方でも育てやすいと人気のある観葉植物です。この機会にぜひフィロデンドロンを育ててみてはいかがでしょうか。
コメント